クイズで紐解く電気工事法

問題(本文)編 第2回





 電気工事業者になるために必要な手続に関する次の文章を読んで、その内容と一致するものを、問題(選択肢)編 の中からすべ

て選びましょう。

※文章中(  )内の表示は、電気工事業法の条数をアラビア数字、項数を丸付アラビア数字、号数をローマ数字で示すものです。

  例: (4①Ⅱ)は「電気工事業法第4条第1項第2号」、(17の2①)は「電気工事業法第17条の2 第1項」の意。



 独立して電気工事業を営もうと決意しても、それだけでは電気工事業者になれません。 「電気工事業者」とは登録を受けた

「登録電気工事業者」と通知をした「通知電気工事業者」だけを意味します(2③)。そのため「登録を受ける」か「通知をす

る」か、そのどちらかの手続を踏まない限り「電気工事業者」と認められないのです(3①、17の2①)。 正式に事業者と

認められない状態で電気工事業を営んだりすると罰則が予定されていますので注意が必要です(36①Ⅰ、40①Ⅲ)。電気工

事を行うには電気工事士でなければならないのと同様、電気工事業を営むには電気工事業者でなければならないわけです。

 では、登録を受けるのと通知をするのとでは、そのどちらを選べばよいのでしょうか。それは「一般用電気工事を行う事業」

を営むかどうかによります。「一般用電気工事を行う事業」は登録電気工事業者でないと営むことができないので、それを営む

ためにはどうしても登録を受ける必要があります。これに対して「自家用電気工事を行う事業」は、登録電気工事業者、通知電

気工事業者のいずれであっても営むことができるので、もし「自家用電気工事を行う事業」を営むだけで十分だ、というのであ

れば、登録を受ける必要はなく、通知をするだけで足ります(3①、17の2①)。 これを事業者の側から見て整理すると、

「登録電気工事業者」が自家用・一般用を問わず広く電気工事全般を対象とする事業者であるのに対し、「通知電気工事業者」

は自家用電気工事のみに対象を特化させた事業者である、ということができます。 電気工事業者として、そのどちらの道を選

ぶかは、ひとえに事業主の判断にかかっていますが、様々なニーズにきめ細かく対応することを重視して、対象をできるだけ広

く定めておくという観点から、登録電気工事業者の道を選ぶのが一般的です。そこで、以下においては、登録を受けようとする

場合に必要な申請の手続を見ていきます。

 その前に一点だけ確認しておきますが、電気工事業の登録申請手続自体は、個人(個人事業主)で行っても法人(会社等)で

行っても基本は同じで大差ありません。どちらが有利、どちらが不利、ということもありません。巷でよく喧伝されている長短

優劣に関する話題は、いずれも申請手続そのものとは直接関係のない事業経営上のアドバイスです。また、個人で登録を受けた

後に「法人成り」した場合の不便(廃止届と登録の受け直し)は、確かにありますが、建設業の許可の場合と比べても、言うほ

どの不便ではありません。要するに、個人でするか法人でするかの選択は、電気工事業を営もうとするご本人にとってその時点

で一番都合の良い方を選んですればよいのです。もっとも、創業時から会社形態でする場合は、登録申請に先立って予め会社を

設立しておかなければならないので、当然その分の手間と費用がかかることを念頭に置かなければなりません。

 では、登録申請手続の具体的な要領と内容を実際に見ていきましょう。

 まず最初にすべきことは『「登録申請書を提出すること」によって「登録を受けようとする者」の一人になること』 です。

登録申請書の提出ができてはじめてあなたは登録を受けようとする者の一人になり、電気工事業法によって「登録申請者」と認

められます(4①)。そして、一度「登録申請者」と認められたあなたは、ほぼ間違いなく電気工事業の登録を受けることにな

り、登録電気工事業者として電気工事業者の仲間入りを果たします。その間の手続はシーケンスの流れに乗って滞りなく進み、

あっけなく結果に至りつくわけです。つまり、最初のステップ(登録申請書の提出)がほとんどすべてと言ってよいほど重要で

登録申請の目的達成のカギを握っています。それは、単に必要事項を所定用紙に書き込んで提出すれば済むという性格のもので

はありません。

 登録申請書の記載事項は以下の通りです(4①Ⅰ~Ⅳ)。



個人事業主の場合
①事業主本人の住所と氏名
②営業所の名称、所在場所、業務に係る電気工事の種類
③特定営業所に置く主任電気工事士の氏名と交付を受けた免状の種類及び交付番号
株式会社等の場合
①株式会社等の名称と本店の所在場所と代表者その他役員の氏名
②営業所の名称、所在場所、業務に係る電気工事の種類
③特定営業所に置く主任電気工事士の氏名と交付を受けた免状の種類及び交付番号




個人事業主、株式会社等の申請書で共通する記載事項は②と③の「(特定)営業所」に関する事項です(4①Ⅱ・Ⅳ、19①)。

「営業所」とは、実態として「電気工事の作業の管理を行」う店舗を意味します(3①)。 したがって、営業所を決めたらそ

こで作業管理を行う「電気工事の種類」を選定しなければなりません。それがその「営業所の業務に係る電気工事の種類」(4

①Ⅱ)になります。

 しかし、先にも触れた通り、そもそも登録申請をすることの目的が「一般用電気工事を行う事業」を営むことにある以上、登

録申請者が、「営業所の業務に係る電気工事の種類」としてそれを選定しないことなど考えられません。したがって、申請書に

は「自分が一般用電気工事を行う事業を営むこと」、「自分の営業所では一般用電気工事の作業管理を業務として行うこと」等

をはっきりと謳い、一般用電気工事業者としての覚悟と決意を明確に示す必要があります。それが上記②の記載事項なのです。

 申請書に明示されたこの覚悟と決意を受けて、電気工事業法は、当該申請者に対し一つの義務を課します。「特定営業所への

主任電気工事士の設置義務」がそれです(19①)。これは、一般用電気工事の作業管理を行う営業所を「特定営業所」と定め

て、そこに「主任電気工事士」を置くことを条件に登録を認める、というルールのことで、電気工事業法が登録電気工事業者

(登録申請者を含む)に対して加える規制の一つです。 仮に今、この義務を果たさないまま登録の申請をする者がいた場合、

その者の申請は、登録のための条件が成就していないことを理由に、「拒否」される結果となります(6①Ⅵ)。 しかし、そ

れでは申請者が可哀想だし、電気工事業法の側からしても登録の拒否は本来意図するところでないので、上記③の記載欄が設け

られました。この欄が申請書に設けられたことにより、申請者は、申請書提出の時点で、既に、主任電気工事士の選任と特定営

業所への設置を済ませていることになるので、もはや条件不成就を理由に登録を拒否される心配はないわけです。しかし、③の

記載欄が「特定営業所への主任電気工事士の設置義務を履行したこと」、それによって「登録に必要な条件が成就したこと」等

の「事実」を明記するために設けられた欄であることに注意する必要があります。 もしそこに記載された事項が事実に基づか

ない場合、あるいは、当初は基づいていたがその後の事情によって申請の段階で事実に基づかなくなっていた場合、その記載は

「虚偽の記載」となりますので、登録申請が拒否されるのもやむを得ません(6①柱書)。

















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